指示代名詞の使い方と注意点

宇崎です。

今日は文章を構成していく際に用いる「品詞」の1つである、

「指示代名詞」

について、その使い方、注意点などを講義してみたいと思います。

指示代名詞は、文章において特定の対象を指し示す場合に、
あえて、その名称(名詞)を用いずにそれを指し示す品詞で、

「この」「その」「あの」「どの」
「これ」「それ」「あれ」「どれ」

上記のようなものが、この指示代名詞に該当します。

仮にその「指示代名詞」という品詞の名称を認識していなくても、
文章を作成していく際は、普通にこの品詞を用いているはずですし、
この品詞が用いられている文章も日常的に目にしているはずです。

現にこの記事のここまでの文章のみにおいても、
この「指示代名詞」は幾度と普通に用いられています。

ですが、この指示代名詞には、それを用いる際において、
しっかりと押さえていくべき「決まり」があり、
その主な注意点となるのが以下の2つの視点です。

<・領域の視点:どの領域にあるものを指し示すものか
・対象の視点:その指示代名詞が指し示す対象は何なのかか


指示代名詞を用いた文章はこの2つの視点が重要であり、
この2つの視点のどちらが不適切なものになってしまっても、
その文章は分かりにくいものになってしまいます。

また、場合によっては文章そのものが支離滅裂になってしまい、
根本的に不可解な文章になってしまう可能性もあるのです。

ただ、この2つの視点が疎かになってしまっている文章は、
このインターネット上を見ても意外に少なくはないのが現実です。

よって、今回の講義では、上記の「2つの視点」を、
それぞれに例文等を挙げた上で言及していきたいと思います。


指示代名詞における「領域」の視点について


指示代名詞は、その対象となるものの「領域」に応じて、
それに準じた指示代名詞を用いていく必要があり、
その領域の区分は以下の4つに分けられます。

・書き手側の領域   : この、これ
・読み手側の領域   : その、それ
・どちらでも無い領域 : あの、あれ
・不特定な領域    : どの、どれ


例えば、今、私(書き手)の容姿について、
それを言及するような文章を書いていくという場合は、

「書き手側の領域にあるもの」

を対象とする形で指示代名詞を用いる事になるため、

私のこの容姿は、決して自慢できるものではありません。

とは言え、これが私の顔なのですから、仕方が無いのです。

このような「この」「これ」などを用いた文章が適切となるわけです。

対して「読み手側の容姿」を言及する文章を書く場合、
これは読み手側の領域にあるものが対象になるため、

あなたは自分の容姿をどう思っていますか?

あなたがその容姿に自信を持たれているなら、
それは本当に結構な事だと思います。

このような「その」「それ」などを用いた文章が適切となります。

そして、書き手側、読み手側、どちらでも無い領域にあたる、
例えば「特定の芸能人の容姿」などを話題にする場合においては、

あなたは○○○○という女優をご存じですか?

あの容姿は、本当に見事だと思いますし、
あれくらいの美貌が自分に備わっていれば、
さぞ、人生も楽しいのではないかと思います。

このような「あの」「あれ」などを用いた文章が適切となります。

また、根本として領域を持たない対象が前提となるような場合は、
以下のような指示代名詞を用いた文章が適切となるのです。

あなたはどのような容姿が理想ですか?

このように、指示代名詞はその対象となるものの領域によって、
そこへ用いていくべき指示代名詞も変わってきます。

指示代名詞を用いる際は、この「領域」の視点を前提に、
その領域に適した指示代名詞を用いる必要があるという事です。

尚、上記に挙げた「書き手側の領域にあるもの」の例文ですが、

私のこの容姿は、決して自慢できるものではありません。
とは言え、これが私の顔なのですから、仕方が無いのです。


この例文は2節目の文章を、

私のこの容姿は、決して自慢できるものではありません。
とは言え、それが私の顔なのですから、仕方が無いのです。


このように、書き手側の領域を対象に用いる「それ」を用いても、
上記を読まれてもお分かり頂ける通り、違和感のないものになります。

これは、1節目の文章で書き手側の領域にある「容姿」が、
その1節目の文章を介して読み手側に伝達された事が前提となるため、
その伝達された対象は「読み手側の領域にあるもの」として

「それ」

を用いても問題は無いためです。

よって、指示代名詞における書き手側の領域、読み手側の領域は、
その情報の伝達前提によって、両者が「共有」できるものになります。

その場合は、どちらの領域を前提とする指示代名詞を用いても、
問題なく、適切な文章を構成していく事が出来るということです。


指示代名詞における「対象」の視点について


上記で解説した4つの「指示代名詞」のうち、
領域が不特定な「どの」「どれ」以外の指示代名詞にあたる、

・書き手側の領域   : この、これ
・読み手側の領域   : その、それ
・どちらでも無い領域 : あの、あれ


この3つの領域を前提とする指示代名詞においては、
その「対象」となるものを読み手側の方が、
しっかりと認識できるようにする必要があります。

それらの指示代名詞が何を対象として示されているのか、
その対象が「どれ」なのかが分かるようになっていなければ、

「これってどれの事を言っているの?」
「それってどれの事を言っているの?」


と、その対象を見失う事になってしまうからです。

よって、上記で挙げた3つの指示代名詞においては、
その指示代名詞の対象が何なのかが明確に分かるように、

『1つ前の文章にその対象がある場合にのみ用いるようにする』

という事を原則的なルールとして厳守するようにしてください。

・書き手側の領域   : この、これ
・読み手側の領域   : その、それ
・どちらでも無い領域 : あの、あれ


この3つ領域を前提とする指示代名詞に関しては、
それらを用いた文章の「前の文章」の中に、
その対象が示されている必要があるという事です。

以下、この原則に反した例文とそれを改善した例文です。

指示代名詞の対象が分かりにくい不適切な文章
私の容姿は自分で言うのも何ですが、本当にひどいです。
故に、私は劣等感を感じる事の多い人生を歩んできました。
しかし私は、ある一点で揺るぎない自信を持っています。
これをどんなに馬鹿にされても、私はその自信を失いませんでした。

上記の不適切な文章を改善した文章
私の容姿は自分で言うのも何ですが、本当にひどいです。
故に、私は劣等感を感じる事の多い人生を歩んできました。
しかし私は、ある一点で揺るぎない自信を持っています。
容姿をどんなに馬鹿にされても、私はその自信を失いませんでした。

上記の2つの文章は『これ』という指示代名詞を、
そのまま『容姿』に差し替えただけの違いなのですが、
前者の不適切な例文では『これ』の対象が

・自分のひどい容姿
・ある一点の揺るぎない自信


このどちらにも解釈が可能な文章であるため、
文章が根本として分かり難くなってしまっています。

少なくとも『これ』という指示代名詞の前に示されている、

「しかし私は、ある一点で揺るぎない自信を持っています。」

という文章には『これ』の対象となるものは示されていませんので、
この文章では『これ』という指示代名詞は用いるべきではなく、
改善文のように『容姿』という語句を用いるべきなのです。

このように文章内に「指示代名詞」を用いていく際は、
読み手側がしっかりとその対象を認識できるようにするため、
その対象が1つ前の文章に示されている事を原則としてください。

1つ前の文章にその対象となるものが示されてない場合は、
その文章では指示代名詞を用いずに、その対象となるものを、
上記の改善文のように示していくべきであるという事です。


指示代名詞の使い方と注意点。総括


以上、今回は品詞の1つである「指示代名詞」の講義として、

<・領域の視点:どの領域にあるものを指し示すものか
・対象の視点:その指示代名詞が指し示す対象は何なのかか


この2つの視点についてを解説させて頂きました。

この「指示代名詞」そのものについては日常会話の中でも、
ほぼ無意識レベルで当たり前に使っているものだと思います。

それだけに、それを文章に用いていく際の重要な「視点」が、
どこか疎かになってしまっているケースは決して少なくありません。

自分の文章の中にも、意外な見落としがあるかもしれませんので、
是非、指示代名詞を用いていく際は注意を払うようにしてみてください。

以上、指示代名詞についての講義でした。

K.Uzaki

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2017年11月20日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:文法・品詞

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