記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方。レビュー
宇崎です。
コピーライティングに役立つ書籍の紹介レビューです。
今回は「脳科学」の書籍になります。
記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方。
記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方。レビュー
コピーライティングというビジネスの場に活かす目的で、
マーケティング上の心理学の延長線、もしくはそこを
より掘り下げたものという認識で脳科学の書籍を手に取ると
6~7割方はおそらくですが失敗した気持ちになると思います。
「これ・・・ちょっと違うな」と。
これは実際に師匠も言っていた事で、
私も脳科学には興味を持って何冊か読んだのですが、
師匠に勧められたもの以外はほとんどが外れでした。
勿論、この「ハズレ」はあくまでもビジネス上の観点、
コピーライティングやマーケティングにおける
心理学の延長線上で脳科学を学ぼうとした場合に、
ちょっと学びたい内容と趣旨がズレるという意味のハズレです。
何というか「学問書」としての書籍が多いジャンルなんですね。
本当の意味で脳科学を「研究」したり「分析」している人は
そういう学問書的なものの方が勉強になるのだと思いますが、
私達のようなコピーライターやマーケッターには、
そういった学問的な観点での学びはあまり必要ありません。
少なくとも、私はそういうものは求めてませんでした。
でも、脳科学の書籍はそういうものが大半みたいです。
実用性が無いというか・・・。
脳のどこに部位がどんな役割を果たして・・・とか、
そんな内部的な事は私達からすればどうでもいいわけで、
そのメカニズムから現れる「行動」を分析したいわけですね。
でも、そこがきちんと書かれている脳科学書籍はほぼ皆無です。
結局そこは心理学の分野になってしまうので、
脳科学の書籍はその理屈や根本を自分なりに落とし込んで
それを自分なりに心理学書籍と結びつける必要があるみたいです。
ただその中でもこの「記憶と情動の脳科学」は、
そこまで専門用語も多くない、
わりと実用性の高い脳科学書籍だと思います。
やはり脳内の脳の活動部分にスポットが当たっていますので
行動心理学の結び付けは自分なりに解釈する必要がありますが、
この書籍で一点、実用的に学べるところは
「記憶」
についてです。
これはコピーライティングにもマーケティングにも
非常に役に立つであろう興味深い内容でした。
メールマガジンを利用して時間差を付けて情報を与え、
顧客を教育していくようなDRMなどには、
この「記憶」のメカニズムは多いに活用できるポイントです。
「脳科学的な観点で記憶についてを本質的に学ぶ」
という目的を掲げるのであればかなりお勧め出来る一冊です。
記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方。内容
ザックリとこの書籍で学べる内容をまとめてみます。
大きなポイントとしては記憶についての下記の3つです。
・記憶の分類
・記憶の喪失(記憶が喪失するメカニズム)
・記憶の凝固(記憶が固まるメカニズム)
例えば「記憶の分類」というテーマでは
・感覚記憶~見聞きしたものの内容の短期的な記憶(色の認識など)
・短期記憶~感覚記憶より持続時間が長い、印象に残った記憶
・長期記憶~短期記憶がより固まって長期に保存されるようになった記憶
という3つの分類から、更に長期記憶を
・陣述記憶(言葉で表現できる)
・エピソード記憶~体験を元に作られた記憶
・意味記憶~事実や法則についての記憶(ことわざの意味など)
の3つに分類しています。
あとは非陣述記憶(言葉で表現できない記憶や習慣など)として下記の4つ。
・手続き記憶~技能的なもの(自転車の乗り方)
・習慣記憶~無意識のうちに形成される刺激と反応
・非連合学習~慣れ(刺激が繰り返され反応が虚弱化)と感作(慣れの逆)
・古典条件付け~唾液の分泌など、進化の過程で生まれた生理的指示記憶
これらについての脳科学的なメカニズムも解説されています。
この辺りはマーケティングへの活用という観点を抜き
普通に読み物としても私は楽しめる内容でした。
自分の記憶というものにあてはめて1つ1つを考察すると、
脳活動と記憶の関係が色々な意味で見えてきます。
自分自身の記憶力や記憶のメカニズムも見えてくるので、
記憶力に自信が無かったり物事を忘れっぽいという人は、
そのメカニズムを知るという意味でも勉強になると思います。
あとはこれらの分類を踏まえて
喪失される記憶と凝固される記憶のメカニズム。
この辺りがより具体的に解説されているという内容です。
かなり大雑把な解説ですが、
この段階である程度でも興味が湧かないようであれば
おそらく読んでも眠くなるだけだと思います。
興味があれば是非、一読してみてください。
「人の記憶」というテーマでは、
かなりその本質に迫っている書籍だと思います。
それでは。
K.Uzaki
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