「権威への服従 」心理学実験ミニグラム効果のマーケティング活用

人は「権威」に弱く、権威者や専門家の言う事は
ほぼ無条件に信じ込んでしまうという特性を持っています。

権威

これを行動、社会心理学では「権威への服従」、
その作用を「ミルグラム効果」とも呼んでいるのですが、
この心理効果は当の本人は全く意識していない段階で、
まさしく潜在的に作用しているものになります。

権威への服従、身近な事例

例えば病気などで病院に行った際に出された薬を
あえて自分でその作用や効能などを調べて使用するでしょうか。

状況や場合によってはそうする事もあるかもしれませんが
大半の人は大抵の場合、とくに何も考えずその薬を服用しているはずです。

勿論、それが問題のある行為と言っているわけではありません。

ただ誰もがとくに「権威に服従している」という意識さえなく、

「日本の病院がそんな変な薬を出すわけが無い」

と無意識的に信じ込んでいる事がわかります。

権威への服従効果を実証したミルグラム実験

この権威への服従効果を実証したという心理学実験があります。

実験の内容は被験者を「教師役」と「生徒役」に分け、
生徒役には問題が出題され、それを間違うと
教師役の被験者が「電気ショック」のボタンを押し、
生徒役の被験者に罰を与えていくというもの。

ただ各被験者達に対しては
“学習における罰の効果を測定する実験”と伝えられました。

勿論、本当に電気ショックを与えたわけではありません。

ただ教師役の被験者には本当に電気ショックを与えると伝え、
生徒役の被験者には電気ショックを受けた演技を
出来る限り本気で演じてもらうよう伝えられました。

その電気ショックは回数を追うごとに強くなるよう伝えられ、
演技する側も回数を追うごとに強い痛みや
最後には無反応になっていく演技を行っていくよう指示され、
教師役の被験者側には電気ショックを与えるように命じる
白衣を着た博士らしき男を立たせて実際に行動を指示。

結果としては生徒役の被験者が苦しみ悶え、
無反応になってしまうような状態までスイッチを押し続けた
教師役の被験者が40人中25人(62%)。

半分以上の教師役被験者がスイッチを押し続けたわけです。

このような「実験」という名目やその権威者らしき男の指示が無ければ、
まずこんな結果は出ていないとされる点から
この心理学実験は人がいかに権威へ服従してしまうか、
その心理効果を明らかなものにしたと賞賛を得たそうです。

権威への服従が生んだ歴史的事件

権威への服従が生んだ歴史的事件としては
ヒトラー時代のナチスが行ったユダヤ人への迫害行為などが挙げられます。

その実行犯となったナチス戦犯達はもとより、
ユダヤ人の絶滅収容所で実際に絶滅行為を行っていたのは
当然ですがヒトラー本人ではありません。

ヒトラーはあくまで独裁者としてその行為を「命じていただけ」です。

にも関わらず大半のナチス軍人はユダヤ人の絶滅行為を実行し続けました。

これも一種の「権威への服従」から生み出された歴史的事件であり、
人は自主的にであれば本来行うはずもないような残虐な行為でも、
権威の後押しがあれば時に平然とやってしまうという事がわかります。

権威への服従、ミルグラム効果のマーケティング活用

時に国家の軍事行為にもある意味で「利用」されている
この権威への服従、ミルグラム効果ですが、
これは既に多くのマーケティング等にも利用されています。

健康食品などのカタログに医学界の権威者のコメントを掲載したり、
深夜のテレビショッピングなどで
専門家らしき人のコメント映像などが入るのは
まさにメーカー側が意図的に権威の力を利用して、
その商品の信頼度や信用度を上げようとしているのです。

また情報商材のセールスレターなどでも
美容や健康関連の情報商材であれば、
販売者等の写真が普通の私服で掲載されているよりも
白衣を着た写真を掲載している方が確実に反応が上がります。

ただ写真で白衣を着ているというだけで、
「白衣=専門家」というような見方をされ、
そこに権威のようなものを感じてしまうのです。

デパート等の警備員が警察のような服装をしているのも
まさにこのミルグラム効果を狙ったものと言えますね。

このように「権威の力」はほんのちょっとした工夫で
いとも簡単に引き出せてしまうという事です。

もし何か利用できそうな要素があれば、
ご自身のマーケティングにもこのような工夫を取り入れてみてください。

また逆に「権威の力」を利用した詐欺的な商法にはくれぐれもご注意を。

K.Uzaki

>コンテンツ一覧へ

タグ

2014年2月12日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:心理学実験 行動心理学

このページの先頭へ